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鳥羽市安楽島町に大漁祈願祭(御魚取り神事)

志摩国一の宮伊射波神社
志摩国一の宮、伊射波神社

 伊射波神社(いざわじんじゃ)は三重県鳥羽市安楽島町の加布良古崎にある志摩国一の宮。『諸国一の宮』によれば、当社は海の道から稚日女尊(天照大神に使えていた神)を加布良古崎へ祭祀したことに始まり、以後志摩国の海上守護神として古代の人から崇敬され、創建から1500年 以上と伝えられる。
 祭神は稚日女尊以外に伊佐波登美尊、玉柱屋姫命、狭依姫命の四柱があり、縁結びや海上守護の神として知られる。11月23日は勤労感謝の日で、日本は古くから神々に五穀の収穫を祝う風習があり、飛鳥時代から新嘗祭の形で伝えられてきた。鳥羽は海の国として大漁を祝う祈願祭が多く、この日に伊射波神社で例大祭の大漁祈願祭、御魚取(みとと)り神事があった。

安楽島町に大漁祈願祭(御魚取り神事)
姫の舞

安楽島町に大漁祈願祭(御魚取り神事)
伊勢えび奉納

 安楽島町の産土神、満留山神社から歩いて約30分。途中に小道が続き、海岸沿いには海に向かって鳥居が立っている。鳥居をくぐると急な石階段があり、頂上に伊射波神社が待ち受ける。
 10時から一連の奉納行事があり、地元安楽島小学生の演じる舞が終わると素襖に烏帽子をかぶった5人の奉仕者と氏子らが本殿にて刺し網を張り、御魚取り神事が始まる。「大漁じゃ。大漁じゃ」の勇ましい掛け声に新鮮な真鯛やハマチの数々を投げ入れ、終わると網に掛かった魚を境内で焼き魚にしてお神酒と分け合って直会が始まる。伊射波神社の御魚取り神事はこれまで見たユーモラスと親近感を合わせもつ鳥羽の珍しい行事だった。

安楽島町に大漁祈願祭(御魚取り神事)
大漁祈願祭(御魚取り神事)

安楽島町に大漁祈願祭(御魚取り神事)
御魚取り神事の真鯛