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新春の歴史街道を歩く 〜切原峠、竜ヶ峠越え宇治橋へ

歴史街道切原峠、竜ヶ峠を歩く
長蛇の列 2010年1月10日

 歴史街道や峠の道は100年前までは見事な生活の道であり、経済と文化が行き交う場であった。今や多くの街道や山の道は静まり返り、往時の面影を偲ぶ場となっている。本源を辿りたく、1月10日に南勢テクテク会主催の「切原峠、竜ヶ峠越え内宮へ」のハイキングに参加した。
 南伊勢町切原から出発し、切原峠を越え、矢持地区、竜ヶ峠を経て宇治橋までに計13.9キロある。昔、商人が五ヶ所湾でとれた豊富な魚や生活用品などを竜ヶ峠越に輸送したことから「行商の道」といわれた。また、神宮にお参りする紀州の人々は五ヶ所湾に着船し、早足でこの経路を選ぶ人も多く、新宮市三輪崎の民謡『鯨踊り』には“船は着いたや五ヶ所の浦にサ、いざや参らん伊勢さまへ”と歌われている。
 山道には落葉が覆い、自然の感覚が脚の裏から伝わってくる。そして数千年も足で通う時代に培ってきた生活観が懐かしく想えた。自然を深呼吸しながら流れ落ちるせせらぎに耳を澄ませ、ひっそりした山里を歩く。

歴史街道、切原峠、竜ヶ峠を歩く 切原峠で五ヶ所湾を眺める 歴史街道、切原峠、竜ヶ峠を歩く 切原峠、竜ヶ峠を歩く参加者の記念撮影
出発を前に準備体操 切原峠で五ヶ所湾を眺める クッションある落葉の道 記念撮影

 参加者は90名近く、朝8時から南伊勢町切原を出発し、参宮を終えた頃には16時を数える。同じ道を車で行けば1時間ほどの距離だ。しかし、車の窓から眺める自然は一瞬にすぎない。日頃、自動車に頼る我々の生活には自然や歴史を振り向く余裕もなくした感じがする。